「今さら!?」 映画レビュー

「今さら観たの!?」な映画のレビューをお届けします。 記事一覧 http://minagusu.hatenablog.com/archive 読書嫌いのための読書会 https://nekogusu.amebaownd.com/ twitter https://twitter.com/mina_gusu

NewsPicksユーザーが薦める本 204冊 (ページ3)

ページ・3

漫画

題名主著者Like数リンク
火の鳥 手塚治虫 145 Amazon
自虐の詩 業田良家 43 Amazon
累(かさね) 松浦だるま 36 Amazon
風の谷のナウシカ 宮崎 駿 29 Amazon
ARMS 皆川亮二 29 Amazon
スラムダンク 井上 雄彦 28 Amazon
のだめカンタービレ 二ノ宮 知子 22 Amazon
MASTERキートン 浦沢 直樹 18 Amazon
漂流教室 楳図かずお 16 Amazon
哭きの竜 能條 純一 15 Amazon
ドラゴン桜 三田紀房 15 Amazon
BLUEGIANT 石塚真一 12 Amazon
ジョジョの奇妙な冒険 荒木 飛呂彦 12 Amazon
ジョジョリオン 荒木 飛呂彦 12 Amazon
ぼくんち 西原理恵子 6 Amazon
美貌の果実 川原泉 5 Amazon
超感覚ANALマン 安永航一郎 4 Amazon
Giant Killing ツジトモ 2 Amazon
君だけをみつめてる 七瀬あゆむ 2 Amazon
水蓮運河 鳥図明児 2 Amazon

絵本・児童書

題名主著者Like数リンク
三びきのやぎのがらがらどん(日本語・英語版) マーシャ・ブラウン 48 Amazon
羽田九月二十一日 野村 昇司 47 Amazon
おくりものはナンニモナイ パトリック マクドネル 29 Amazon
ぐりとぐら なかがわ りえこ 28 Amazon
ねないこだれだ せな けいこ 22 Amazon
ルドルフとイッパイアッテナ 斉藤 洋 20 Amazon
二分間の冒険 岡田 淳 18 Amazon
おじいさんのランプ 新美南吉 17 Amazon
ちいさいおうち バージニア・リー・バートン 16 Amazon
いつでも会える 菊田まりこ 13 Amazon
冒険者たち 斎藤 惇夫 11 Amazon
桃太郎(日本昔話) まつい ただし 10 Amazon

辞典・辞書・年表

題名主著者Like数リンク
岩波理化学辞典 長倉 三郎 51 Amazon
岩波数学辞典 日本数学会 35 Amazon
理科年表 国立天文台 21 Amazon
新明解国語辞典第4版 金田一 京助 13 Amazon

雑誌

題名Like数リンク
NHK 趣味の園芸 やさいの時間 10月号 38 Amazon
ビッグコミックオリジナル 2016年19号 24 Amazon
月間ランナーズ(2016年11月号) 23 Amazon

番外編

題名Like数
国語の教科書 68
過去の自分の日記 32

 

ページ・3

皆さん、ご協力ありがとうございました!!

NewsPicksユーザーが薦める本 204冊 (ページ2)

ページ・2・

人文・思想

題名主著者Like数リンク
新訳・旧約聖書(口語訳聖書 Kindle版) 日本聖書協会 75 Amazon
道は開ける D・カーネギー 63 Amazon
論語算盤 渋沢栄一 60 Amazon
置かれた場所で咲きなさい 渡辺和子 52 Amazon
いい言葉は、いい人生をつくる 斎藤茂太 35 Amazon
ブッダのことば―スッタニパータ 中村 元 35 Amazon
孫子の兵法(新訂 孫子 (岩波文庫)) 金谷 治 32 Amazon
影響力の正体 ロバート・B・チャルディーニ 30 Amazon
哲学大図鑑 ウィル バッキンガム 25 Amazon
「いき」の構造 九鬼 周造 23 Amazon
学問のすゝめ 福澤 諭吉 23 Amazon
忘れられた日本人 宮本常一 22 Amazon
君たちはどう生きるか 吉野源三郎 21 Amazon
保育器の中の大人 岸田秀伊丹十三 20 Amazon
増量・誰も知らない名言集イラスト入り リリー・フランキー 17 Amazon
超老伝―カポエラをする人 中島らも 17 Amazon
「原因」と「結果」の法則 ジェームズ・アレン 16 Amazon
人間臨終図巻 山田 風太 14 Amazon
武士道 新渡戸 稲造 14 Amazon
ゲーデルエッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 ダグラス・R. ホフスタッター 14 Amazon
プラグマティズム W・ジェイムズ 13 Amazon
ファスト&スロー ダニエル・カーネマン 12 Amazon
成功の実現 中村天風 11 Amazon
松下幸之助「一日一話」―仕事の知恵・人生の知恵 松下幸之助 10 Amazon
自助論 サミュエル スマイルズ 9 Amazon
海馬脳は疲れない 池谷 裕二 9 Amazon
人間とは何か マーク・トウェイン 8 Amazon
マンガ禅の思想 蔡 志忠 8 Amazon
私の財産告白 本多静六 7 Amazon
歎異抄講話 暁烏敏 7 Amazon
そんな友達ならいなくたっていいじゃないか 斎藤孝 7 Amazon
言志四録 佐藤一斎 7 Amazon
脳を鍛える (東大講義 人間の現在1) 立花隆 7 Amazon
「手紙屋」 喜多川 泰 5 Amazon
創造的論文の書き方 伊丹敬之 5 Amazon
道徳感情はなぜ人を誤らせるのか~冤罪、虐殺、正しい心 管賀 江留郎 5 Amazon
新たなる野望の構想 堤義明 5
人生の王道 稲盛和夫 3 Amazon
嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え 岸見 一郎 3 Amazon
思考は現実化する_アクション・マニュアルつき ナポレオン・ヒル 1 Amazon
自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間"を捨てられるか 岡本太郎 1 Amazon

ビジネス・経済

題名主著者Like数リンク
会計天国 青木 寿幸 42 Amazon
レクサスとオリーブの木 トーマス フリードマン 30 Amazon
資本論 カール・マルクス 27 Amazon
その問題、経済学で解決できます ウリ・ニーズィー 25 Amazon
Maritime Economics Martin Stopford 25 Amazon
スティーブ・ジョブズ ウォルター・アイザックソン 20 Amazon
ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか ピーター・ティール 18 Amazon
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 岩崎 夏海 12 Amazon
新版 図解・問題解決入門―問題の見つけ方と手の打ち方 佐藤充 8 Amazon
やさしい経済学 池上彰 6 Amazon
挑戦者 渋沢 和樹 6 Amazon
ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か エリヤフゴールドラット 3 Amazon
ルワンダ中央銀行総裁日記 服部 正也 1 Amazon
プライベートバンカー カネ守りと新富裕 清武英利 1 Amazon

社会・政治

題名主著者Like数リンク
仕事は楽しいかね? デイル・ドーテン 36 Amazon
パールハーバー―トップは情報洪水の中でいかに決断すべきか ロベルタ・ウールステッター 24 Amazon
曲げないドイツ人、決めない日本人 ネルケ無方 16 Amazon
文明の衝突 サミュエル・P. ハンチントン 16 Amazon
民主主義とは何なのか 長谷川三千子 8 Amazon
言ってはいけない―残酷すぎる真実― 橘玲 4 Amazon
日本資本主義崩壊の論理 小室直樹 3 Amazon
森を見る力: インターネット以後の社会を生きる 橘川幸夫 2 Amazon
日本の思想 丸山 真男 1 Amazon
ドーナツを穴だけ残して食べる方法 越境する学問―穴からのぞく 大阪大学ショセキカプロジェクト 1 Amazon

 

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NewsPicksユーザーが薦める本 204冊

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こんにちは、ねこぐすです。

 

先日、こんなピックをしたところ、ありがたいことに324ものコメントとピックをいただきました。

 

今回は、皆さんから薦めていただいた本をまとめて表にさせていただきました。

ちなみに、以前にも同じようなことをやっております。

 

 

下が、皆さんの選んだタイトルをカテゴリごとにLike順に並べた表です。

1つのページに入りきらなかったので、3ページに分けています。 

 

※集計は2016/10/1時点のコメント欄のものです。

※Like数はおすすめ度を測るものさしにはなりませんが、目安とお考えください。

※複数挙げていただいた方に関しては、コメント欄の1番初めに挙げられた1冊を抜き出しました。

※同タイトルの方は、Like数を足して合計値を出しています。

※カテゴリは、Amazonのものを参考にしていますが、後半は疲れて適当に分けた節があるので、あまり突っ込まないでください。同じく、リンクも合ってないことがあるかもしれませんが、ご了承ください。

 

文学・評論

題名主著者Like数リンク
源氏物語―付現代語訳 紫式部 65 Amazon
竜馬がゆく 司馬 遼太郎 62 Amazon
かもめのジョナサン リチャード バック 51 Amazon
ライ麦畑でつかまえて J.D.サリンジャー 51 Amazon
百年の孤独 ガブリエル ガルシア=マルケス 48 Amazon
我が名は則天武后 山颯 47 Amazon
飛ぶ教室 エーリッヒ ケストナー 46 Amazon
大地の子 山崎豊子 43 Amazon
失われた時を求めて マルセル・プルースト 40 Amazon
温かいスープ 光村図書発行 中学三年国語 38
日はまた昇る アーネスト・ヘミングウェイ 38 Amazon
風立ちて"D" 菊地 秀行 38 Amazon
ドリトル先生シリーズ ヒュー ロフティング 34 Amazon
深川黄表紙掛取り帖 山本一力 33 Amazon
サラバ! 西加奈子 32 Amazon
仮面の告白 三島由紀夫 31 Amazon
感情教育 中山可穂 31 Amazon
神々の山巓 夢枕獏 31 Amazon
読書について 小林秀雄 28 Amazon
すべてがFになる 森博嗣 26 Amazon
あの夏、風の街に消えた 香納諒一 23 Amazon
モモ ミヒャエル・エンデ 21 Amazon
風の歌を聴け 村上春樹 21 Amazon
風紋 乃南アサ 21 Amazon
パラレルワールドラブストーリー 東野圭吾 21 Amazon
卑弥呼 久世光彦 21 Amazon
間宮兄弟 江國香織 20 Amazon
真理先生 武者小路実篤 19 Amazon
青が散る 宮本輝 19 Amazon
長いお別れ レイモンド・チャンドラー 18 Amazon
不毛地帯 山崎豊子 18 Amazon
こころ 坊っちゃん 夏目漱石 18 Amazon
OUT 桐野夏生 17 Amazon
泥酔ジャーナル 百々和宏 17 Amazon
文明の逆説―危機の時代の人間研究 立花 隆 17 Amazon
眠る盃 向田邦子 16 Amazon
カラマーゾフの兄弟 ドストエフスキー 16 Amazon
チルドレン 伊坂幸太郎 16 Amazon
翼はいつまでも 川上健一 16 Amazon
アルケミスト パウロ コエーリョ 16 Amazon
春琴抄 谷崎 潤一郎 15 Amazon
恐るべきさぬきうどん』~誰も書かなかった さぬきうどん 針の穴場探訪記~ あわわ 15 Amazon
悪童日記 アゴタ クリストフ 15 Amazon
一億円もらったら 赤川次郎 14 Amazon
11/22/63 スティーヴン・キング 14 Amazon
愛と幻想のファシズム 村上 龍 14 Amazon
魔女の血族 デボラ・ハークネス 13 Amazon
空白を満たしなさい 平野啓一郎 13 Amazon
狭き門 ジイド 13 Amazon
くらやみの速さはどれくらい エリザベス・ムーン 12 Amazon
督促OL 修行日記 榎本 まみ 11 Amazon
アミ小さな宇宙人 エンリケバリオス 11 Amazon
そして五人がいなくなる はやみね かおる 10 Amazon
夏の庭 湯本香樹実 10 Amazon
志賀越みち 伊集院静 10 Amazon
氷点 三浦綾子 9 Amazon
蟬しぐれ 藤沢 周平 9 Amazon
銀齢の果て 筒井康隆 9 Amazon
ロスジェネの逆襲 池井戸潤 9 Amazon
人生を完全にダメにする11のレッスン ドミニク・ノゲーズ 8 Amazon
楽園のカンヴァス 原田 マハ 8 Amazon
ねじまき鳥クロニクル 村上 春樹 7 Amazon
アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス 7 Amazon
友がみな我よりえらく見える日は 上原隆 7 Amazon
天平の甍 井上 靖 6 Amazon
二十歳の原点 高野悦子 6 Amazon
僕は勉強ができない 山田詠美 6 Amazon
階段途中のビッグノイズ 越谷 オサム 5 Amazon
街道をゆく 司馬 遼太郎 4 Amazon
ファンム・アレース 香月日輪 4 Amazon
職人 永六輔 4 Amazon
一九八四年 ジョーオーウェル 3 Amazon
作業日誌 中原昌也 2 Amazon
ダンダンダン 村上春樹 1 Amazon
ハゲタカ 真山仁 1 Amazon
読書について ショーペンハウエル 1 Amazon
本格小説 水村美苗 1 Amazon
君の名は。 加納 新太 1 Amazon
人間失格 太宰 治 1 Amazon
ショージ君の「ナンデカ?」の発想 東海林さだお 1 Amazon

歴史・地理

題名主著者Like数リンク
日本書紀(上)全現代語訳 宇治谷 孟 57 Amazon
歴史とは何か E・H・カー 51 Amazon
百姓から見た戦国大名 黒田基樹 48 Amazon
現代語古事記 ポケット版 竹田 恒泰 36 Amazon
ゆげ塾 構造がわかる世界史 ゆげ塾 24 Amazon
一万年の旅路 ネイティヴ・アメリカンの口承史 ポーラ アンダーウッド 11 Amazon
サピエンス全史 ユヴァル・ノア・ハラリ 6 Amazon
夜と霧 ヴィクトール・E・フランクル 6 Amazon

ノンフィクション

題名主著者Like数リンク
マネー・ボール マイケル・ルイス 44 Amazon
スティーブンソンと蒸気機関車 コーリン・クレスウェル・ドーマン 33 Amazon
ガンに生かされて 飯島夏樹 13 Amazon
ビックツリー 佐々木常夫 9 Amazon
糞尿博士・世界漫遊記 中村 浩 9 Amazon
孤闘―Fighting Alone 斉藤実 6 Amazon

 

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第5回 「ぼくを探しに」(2014) シルヴァン・ショメ

 

「あなた童貞? わたし処女なの」

 

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はじめまして、今さら映画レビュアー ねこぐすです。

今回も「今さら観たの!?」な映画のレビューを紹介していきます。

 

今回からは2部構成で紹介していきます。

前半がネタバレなしで、後半がネタバレありです。

なので、前半を見て観たくなったという人は、1度映画を観てから、後半を見るといいでしょう。

 

さて、今回はシルヴァン・ショメ監督の「ぼくを探しに」(2014) です。

フランスのアニメ映画監督が実写映画に挑戦した本作。

とても、不思議で素晴らしい出来になっています。

 

 

 シリアスとコメディ、そしてファンタジー

 

この映画が生み出す雰囲気は、とても不思議です。

シリアスが8割、コメディが2割、それをファンタジーが包み込んでいるような・・・

小麦粉と卵、砂糖を少々、ふんわり焼き上げればマドレーヌの出来上がり!みたいな・・・

 

・・・例えが微妙ですが、本当にマドレーヌのような映画でした。

 

ストーリー

 

主人公のポールは、2歳の時に両親を亡くして、そのショックで記憶を失い、言葉を発することが出来なくなりました。

今は、2人の伯母と3人で暮らしています。

伯母たちはポールを過保護に育てます。

食事や買い物をする時も一緒、たまにポール1人で外出する時は玄関にある黒板に行き先を書かなければなりません。

そして、毎日伯母たちが開いているダンス教室でピアノを演奏する日々。

捨てられない子供の頃のおもちゃと写真に、日ごとにお母さんへの想いが募っていきます。

 

そんな中、ふいにマダム・プルーストと出会います。

彼女はアパートの部屋の床を剥がして植物を育てたり、怪しげな商売をしているので、皆から疎まれています。

そんなマダムが作るマドレーヌとハーブティーには不思議な力があり、過去の記憶を呼び覚ますことができます。

ポールは、お母さんに会いたい一心でマダムにお金を払って、何度も過去の記憶をたどります。

そこには、大好きなお母さんと、そのお母さんに暴力を振るう怖いお父さんの姿もありました・・・

そして、両親の死の真相とは・・・

 

この映画のみどころ

 

①「起承転結」の「転」が3回訪れる

 過去の回想と現実を行ったり来たりしながら、揺れ動くポールの感情が手に取るように見える。

 ギョーム・グイの演技も実に見事です。

 

②ポールがしゃべらないので、感情移入しやすい

  主人公に完全に感情移入した後は、①で言ったように、揺れ動く感情の波に乗って動してしまう。

 ちなみに、私は3回泣いてしまった。笑

 泣ける映画が良いとか悪いとかは置いといて、ショメ監督の手腕が見事。

 

③音楽を交えた独特の雰囲気

 これは観てもらう他ないが、回想では毎回コミカルな音楽が流れる。

 これが、シリアスな映画の合間合間に挿入されることで、独特のテンポを与えて観ているものを飽きさせない。

 

Youtubeに回想シーンの1つがあったので、これを観てもらえばいいと思う。

私の好きなシーンでもある。

 

 

 

・・・にしても、邦題がダサい。

 

これじゃあ、借りるのも恥ずかしくなる。

原題は「ATTILA MARCEL」で、ポールのお父さんの名前だから、まあこれじゃあ売れないから改題しなきゃいけないけど。

個人的には「失われた時を求めて」のほうが良かったと思う。

理由は後半で言います。

 

前半は以上です。

 

先にも言いましたが、「感情移入」がこの映画を楽しむためのポイントなので、そうなりやすいシチュエーションを作るといいかもしれません。

例えば、好きな人と2人で休日の夜に観る、とか。

私は1人で3回観ましたが、皆さんには好きな人と2人で観ることをお勧めします。 

 

それじゃ、ネタバレOKな人は後半へ。

さようなら。

 

 

[DVD] ぼくを探しに

[Blu-ray] ぼくを探しに

[Amazonビデオ] ぼくを探しに(字幕版)

  

 

 ここから、ネタバレのありの後半です。

 

 

新訳「失われた時を求めて

 

この作品はある有名な小説のオマージュであることは、観る人が観れば分かります。

それはマルセル・プルーストの「失われた時を求めて」です。

20世紀フランス文学の重要で偉大な作品と言われています。

なぜ「言われている」と他人事のように言ったかというと、原本を読んでいないからです。

読書が苦手な私が読めるような甘っちょろい作品ではありません。

全7巻で、ページ数は翻訳本にして5000ページ以上あります・・・

 

なので、Wikipediaから得た知識で、表面的なオマージュ部分を拾います。

この小説の有名なシーンとして、小さいころよくマドレーヌを紅茶に浸して食べていた主人公が、偶然大人になってから同じものを食べたときに、ふいに過去の記憶が呼び覚まされて回想する場面があります。

まさしく、この映画のマダムのマドレーヌと一緒ですね。あと、

 

「普通のマドレーヌよ、オレンジ風味はゲイっぽい。」

 

という、一見摩訶不思議なセリフは、マルセル・プルーストがゲイだったことに由来します。

 

そして、この映画の主人公の名前はポール・マルセル。

彼を過去にいざなうのはマダム・プルースト

この2人を足せば先の小説の著者、マルセル・プルーストになります。

 

さらに、過去をたどって新しい自分を見つけていく、というストーリーも完全に一致していますしね。

 

小説を読めば、もっとたくさん類似点が見つかるとは思いますが、今回はショメ監督が「失われた時を求めて」に感銘を受けて、そのリメイクを作ったんだ、ということだけにしておきましょう。汗

 

映画のオマージュもたくさんありそうですが、私の知識不足で見抜けませんでした。

まだまだ勉強が必要ですね。

 

楽器の変化と心の変化

 

ポールが、今まで自分が弾いていたピアノが両親の命を奪ったものであることに気づいて、ピアノに縛られていた人生をマダムのウクレレに持ち替えて新しい道を進んでいくところは印象的でした。

両親の死や自分の過去を赦し決別する象徴になっています。

 

中国人の彼女と結婚して子供をもうけ、伯母のピアノ教室をウクレレ教室にしたのも、伯母からの自立を表していて、観ているこっちがスカッとする場面でした。

服装が堅苦しいスーツ姿からラフなアロハになったのも、新しいポールになったんだなあ、と思わせます。

 

個人的に好きなシーン

 

プロレスでお父さんとお母さんが戦うところです。

 

一歩間違えれば笑ってしまうシーンですが、主人公への感情移入の強さとそれまで抱いていたお父さんへの嫌悪感から感動してしまいました。

本当、シリアスとコメディの間で綱渡りをしているようです。

どっちに転んでもおかしくないぐらい紙一重です。

 

これは、ピアノがポールの両親を押し潰すシーンでも言えます。

絶妙なシリアス感を演出する脚本の巧さは凄いですね。

 

 

とまあ、いろいろ言いましたが、理屈抜きで観られる映画なので、観ておいて損はないです。

 

さて、今回は以上。

それでは、また!

 

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NewsPicksユーザーが選ぶ 映画タイトル ベスト217

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好きな映画を1本教えてください。

先日、こんなピックをしたところ、予想以上に反響があり、293個のコメントとピックがありました。

 

当初の目的は自分の映画ブログのネタ集めのためだったのですが、これだけたくさんのコメントをいただいたので、皆さんの選んだ映画タイトルをLike順に並べて表にさせていただきました。

 ▼一瞬だけ総合トップに入りました!

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▼皆さんの選んだタイトルをLike順に並べた表です。

※複数挙げていただいた方もいましたが、1つということだったので、コメント欄の1番初めに挙げられたタイトル1本を抜き出しました。

※同タイトルの方は、Like数を足して合計値を出しています。

順位映画タイトル合計Like数
1 ニューシネマパラダイス 159
2 LEON 145
3 ファイト・クラブ 141
4 ショーシャンクの空に 140
5 ライフ・イズ・ビューティフル 140
6 バッファロー'66 99
7 七人の侍 98
8 スタンドバイミー 96
9 イントゥ・ザ・ワイルド 90
10 明日に向かって撃て 79
11 ダイハード 72
12 もののけ姫 66
13 ビッグ・リボウスキ 60
14 ゴッドファーザーpart.1 60
15 ソラニン 59
16 ビックフィッシュ 58
17 プリシラ 55
18 風と共に去りぬ 55
19 グラントリノ 54
20 ダークナイト 51
21 ビフォア・サンライズ シリーズ 48
22 グーニーズ 46
23 インセプション 45
24 バック・トゥ・ザ・フューチャー 45
25 あばあちゃんの家 44
26 パピヨン 44
27 風の谷のナウシカ 43
28 ラブホテル 43
29 Hell Raiser 42
30 グリーンマイル 41
31 Once Upon A Time In America 40
32 クレヨンしんちゃん・大人帝国の逆襲 40
33 少年時代 39
34 ミッドナイト・イン・パリ 39
35 最強のふたり 39
36

遥かなる大地へ

37
37 永遠の片思い 37
38 夢見るように眠りたい 36
39 ザ.マジックアワー 36
40 ソーシャルネットワーク 36
41 ベルリン天使の詩 35
42 エターナルサンシャイン 33
43 フォレストガンプ 33
44 髪結いの亭主 33
45 スクール・オブ・ロック 33
46 グランブル 33
47 A few good men 32
48 ビック 32
49 エレファントマ 32
50 アバウト・タイム 32
51 インディペンデンスディ 32
52 ベンハー 31
53 イージー・ライダー 31
54 恋愛適齢期 31
55 2001 宇宙の旅 31
56 007スカイフォール 30
57 Life! 30
58 Mobile Suit Gundam Char's Counterattack 29
59 50回目のファースト・キス 29
60 キャッチミーイフユーキャン 29
61 ゴジラVSデストロイア 28
62 あなたが寝てる間に 28
63 ベイマックス 28
64 バタフライエフェクト 28
65 フィールドオブドリーム 27
66 クレイマークレイマー 27
67 スティング 27
68 お早よう 27
69 白い巨塔 27
70 シシリアン 26
71 時をかける少女大林宣彦 26
72 ベティ・ブルー 26
73 ロッキー 26
74 メリーポピンズ 26
75 ミュウツーの逆襲 26
76 顔のない天使 25
77 Goodwill Hunting 25
78 APOLLO13 25
79 酔拳 25
80 オールドボーイ 24
81 スリーパーズ 24
82 ロミオとジュリエット 23
83 L.A.コンフィデンシャル 23
84 ふがいない僕は空を見た 23
85 レ・ミゼラブル 23
86 シェルブールの雨傘 23
87 シンドラーのリスト 23
88 ゴットファーザーpart2 23
89 セルラー 22
90 世界にひとつのプレイブック 22
91 恋しくて 22
92 ターミネーター2 22
93 SWING GIRLS 22
94 ドラえもん 22
95 ローマの休日 22
96 エデンの東 21
97 rock stock and two smoking barrels 21
98 マスク 21
99 ユージュアルサスペクツ 21
100 Oliver!(1986) 21
101 ミッドナイト・ラン 21
102 BLOW 21
103 涼宮ハルヒの消失 21
104 ゆれる 21
105 96時間の1作目 20
106 ブレードランナー 20
107 マーダーライドショー 20
108 SAW 20
109 テレクラキャノンボール 19
110 ファインディング・ニモ 19
111 めがね 19
112 スワロウテイル 19
113 凶悪 19
114 Stop Making Sense 18
115 ガタカ 18
116 ラブ・アクチュアリー 18
117 トレーニングデイ 18
118 American Beauty 17
119 しあわせのパン 17
120 パリ、テキサス 17
121 KANO 17
122 ロックストックアンドトゥースモーキングバレルズ 17
123 バグダッド・カフェ 17
124 ジュラシック・パーク 17
125 12モンキーズ 16
126 或る夜の出来事 16
127 ペーパームーン 16
128 アメリカンヒストリーX 15
129 秋菊の物語 15
130 アダプテーション 15
131 ザ・ロック 14
132 アルマゲドン 14
133 戦艦ポチョムキン 13
134 テオレマ 13
135 サウンドオブミュージック 13
136 ふたり 13
137 羅生門 13
138 天空の城ラピュタ 12
139 天使のくれた時間 12
140 SHEF 12
141 ノッキンオンヘブンズドア 12
142 野獣死すべし 12
143 picnic 11
144 キャバレー 10
145 JFK 10
146 リバーランズ・スルー・イット 10
147 ワイルドスピード 10
148 キリングフィールド 10
149 花の詩女ゴチックメード 10
150 おにいちゃんのハナビ 10
151 ヘアスプレー 10
152 MIB 10
153 Documentary of 乃木坂46~悲しみの忘れ方 9
154 アンヴィル夢を諦めきれない男たち 9
155 東邪西毒 9
156 スポンジボブ 9
157 Talk to her 9
158 ロッキー4 9
159 リリィシュシュのすべて 9
160 レヴェナント~蘇りし者~ 9
161 ホームアローン 9
162 Jersey Boys 9
163 オーシャンズ11 9
164 フィールドオブドリームス 9
165 マグノリア 8
166 ディアハンター 8
167 バクダットカフェ 8
168 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い 8
169 好きだ 8
170 From dusk till dawn 8
171 シザーハンズ 8
172 Bourne シリーズ 7
173 千と千尋の神隠し 7
174 Re life 7
175 203高地 7
176 LOST in SPACE 7
177 となりのトトロ 7
178 歩いても歩いても 7
179 虹の女神 7
180 dinner rush 6
181 ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー 6
182 銀魂完結篇 6
183 GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 6
184 ブエノスアイレス 6
185 イエスマン 6
186 Food Inc. 6
187 トップガン 5
188 サイダーハウスルール 5
189 ユーガットメール 5
190 キッズリターン 5
191 アマデウス 5
192 Love Letter 5
193 パーフェクトワールド 5
194 時をかける少女(細田守) 4
195 けいおん! 4
196 プラダを着た悪魔 4
197 閉ざされた森 4
198 ロッキーザファイナルの予告編 3
199 晩春 3
200 恋愛睡眠のすすめ 3
201 ブラックレイン 3
202 オーロラの彼方に 3
203 Life 3
204 遠い空の向こうに 3
205 マイ・フレンド・メモリー 2
206 ジャッジ 2
207 ディア・ハンター 2
208 マイレージ マイライフ 2
209 海がきこえる 2
210 レディインザウォーター 2
211 TED 2
212 17(セブンティーン) 1
213 ボディーガード 1
214 ラジオの時間 1
215 シリアナ 1
216 ライトスタッフ 1
217 アンダーグラウンド 1

 

TSUTAYAやGEOなどで、

「あと1タイトルあれば1000円で借りれるのに…」という時や、

「普段観ないジャンルに挑戦してみよう!」という時に参考にしてみてください。

なにせ、様々な職業や趣味を持った人が集まるNPですから、きっと新しい発見があるはずです。

 

以上。

それでは!

 

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第4回 「ファイト・クラブ」(1999) デヴィッド・フィンチャー

「主人公の名前は???」

 

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はじめまして、今さら映画レビュアー ねこぐすです。

今回も「今さら観たの!?」な映画のレビューを紹介していきます。

 

※ネタバレが嫌な人はブラウザをそっと閉じてください。

 

今回はデヴィッド・フィンチャー監督の「ファイト・クラブ」(1999)です。

D・フィンチャー作品の中でも評価の高い本作。

観られた方も多いのではないでしょうか?

 

この映画は、私の価値観をひっくり返してくれたお気に入りの作品でもあります。

 

 

ストーリー

 

さて、本作のあらすじは、

仕事や日々生きることに虚無感を感じている主人公が、自分とは真逆の性格の男と出会い自らを変えていくという話です。

主人公が出会うタイラー・ダーデンという男は、映画の合間にポルノの1コマを入れたり、レストランのスープにおしっこしたり、とにかく自由奔放で世の中に反抗している人間です。

消費社会の奴隷となっている主人公とは正反対です。

タイラーと設立したファイト・クラブは、日頃のうっぷんを晴らす場として入会者が増えてどんどん巨大な組織になっていきます。

始めは自分自身とごく限られた人間だけが暴力をふるう場だったのが、エスカレートして社会にまでその影響が及ぶようになります。

それを危惧した主人公はタイラーを止めようとしますが、タイラーが自分自身であることに気づきます。

街の高層ビルを爆破する計画が完成される直前に主人公は拳銃で自分自身を撃ち抜いてタイラーを食い止めますが、爆破は止められず、崩れゆくビルをマーラと共に眺めて終わります。

 

この作品の凄いところ

 

本作には、人生において避けて通れない問題が至る所にちりばめられています。

 

・大量消費社会に生きている人間の虚無感

・他人と真剣に向き合うこと

・暴力をふるった人間がどうなるか

・人間の成長 などなど・・・

 

大きなテーマとして、消費社会に生きる人間の虚無感について描かれていますが、その他にも様々なことを教えてくれる映画です。

自分の話をちゃんと聞いてくれるのは、死が迫っている人間か、同じ悲しみを持っている人間だけとか。

人を殴ると殴られた人間はどうなるのか。

過激な暴力描写が問題になり、日本では一部カットして放映されたようです(DVD版ではノーカット)。

あと、少年の暴力を助長すると問題になったそうですが、私はそうは思いません。

この映画を観たら、暴力のもつ怖さや虚しさが分かるからです。

また、そこに目をつむっていては感じられない人間のもっている暴力性があります。 

 

マーラとは何者なのか?

 

彼女とはがん患者の自助グループで出会います。

日々生きていくことに虚しさを感じ、自分という存在を認めてもらいたいという承認欲求をもっています。

 

これって、現代に生きる私たちと似ていませんか?

 

SNSでたくさんの人と繋がる社会に生きていても、自分の話を親身になって聞いてくれる人なんてほとんどいない。

生きることにうんざりしながらも日々生きていく私たちに。

 

そして、彼女は主人公にそっくりです。

 

主人公が毛嫌いしている弱い自分と全く同じです。

 

もうお分かりですよね?

つまり、マーラ・シンガーとは、主人公の嫌いな自分そのものであり、主人公が彼女を嫌っているのは自分自身の嫌な部分を彼女に見ているからです。

物語が進むにつれて主人公はマーラを受け入れ、最終的には手をつないで終わりますが、これは、自分の嫌だった部分を受け入れていく過程に他なりません。

本作は彼が成長していくというテーマも盛り込んでいるのです。

 

改めて、タイラーとは何者なのか?

 

改めて、タイラーを考えてみましょう。

タイラーが主人公の理想の姿であることは、先ほど言いました。

 

つまり、マーラとは逆の存在です。

 

主人公は、マーラ(ダメな自分)とタイラー(理想の自分)の間を行ったり来たりしながら、最も望ましい自分にたどり着くのです。

 

自分が作り出したタイラーという理想の存在に主人公が近づいていき、最終的に強さと自信を備えた自分になっていくというところは、意志の力で人は変われるということを暗に描いています。

また、ラストで主人公が自分を拳銃で撃ってタイラーを殺すシーンがありますが、タイラーは死んだのでしょうか?

 

私は死んでいないと考えます。

 

なぜなら、最後の最後でポルノの1コマが挿入されており、これはタイラーがまだ生きていることを表しています。

主人公は タイラーを殺したのではなく、取り込んだのです。

 

「タイラー良く聞け、俺は目を開いてる!」

 

と言って自分を撃ったのも、タイラーから教わった、「痛みから目をそらさないこと」に対する解答です。

これ以上ない自己破壊をやってのけることによって、弱い自分と理想の自分を受け入れ、新たな自分へと変貌を遂げたのです。

 

主人公の名前は?

 

本作では主人公の名前が一切出てきません。

エンドクレジットにさえ出てこないという徹底ぶりです。

これは、タイラーが同一人物であるということに対する伏線をはるためであり、観客が主人公に感情移入しやすくするための補助線にもなっているのですが、本当の主人公の名前は何なのでしょうか?

映画の途中に出てくる寓話の主人公ジャックという話もありますが、違います。

 

答えはタイラー・ダーデンです。

 

一般的に、多重人格は別人格として描かれます。

例えば「ジキル博士とハイド氏」では名前の違う2人の人間に分かれていますが、この物語でそれをやると、最後に別の人間を1つにするというような不可思議な結論になります。

あくまで主人公は現実の自分と理想の自分の間で葛藤する普通の人間で、物語上の名前はタイラー・ダーデンであり、この映画を観ている観客1人1人でもあるのです。

 

クライマックスシーンの賛否

 

ラストは主人公とマーラが手をつないで、崩壊するビルを眺めるシーンでこの映画は終わります。

この時の主人公は以前とは別人になっています。

部下からも慕われ、マーラに対して臆することなく接しているところからも分かるとおりです。

そして、窓から見えるビルが全て崩れた後で急に画面にノイズが入ります。

これは、2人のいるビルも崩れようとしていることを暗に示しています。

つまり、この後主人公とマーラ、そして部下たちはほぼ死んでしまうものと思われます。

とても、短いハッピーエンドですが、最高に美しいと思うのは私だけでしょうか?

 

 

以上、ざっと私見を言わせてもらいましたが、賛否両論あると思います。

納得できないこともあるでしょう。

しかし、人によって感じたことが違うというのは素晴らしいことであり、無理に統一する必要はないと考えています。

 

このブログを見て、「観てみたい」とか「また観たい」と思ってもらえればそれで十分です。

 

今回は以上。

それでは、また!

 

[Blu-ray] ファイト・クラブ

 

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第3回 「インサイド・ヘッド」(2015) ピート・ドクター

「人間の成長と、感情の変化」

 

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はじめまして、今さら映画レビュアー ねこぐすです。

今日も「今さら観たの!?」な映画のレビューを紹介します。

 

※ネタバレが嫌な人はブラウザをそっと閉じてください。

 

今日はピート・ドクター監督の「インサイド・ヘッド」(2015)です。

有名なアニメ制作会社ピクサーの一風変わったストーリーのアニメです。

 

 

原題の意味とストーリー

 

内容は、11歳の主人公ライリーの頭の中の感情たちが繰り広げるドラマです。

 こんな難しそうなテーマでも、ピクサーにかかれば、老若男女が楽しめるエンターテインメントに変わります。

 

さすがですね!

 

さて、この映画のテーマを読み解くにあたってまず重要なことが、「原題の意味を知る」ことです。

洋画のタイトルは日本版にする時に、往々にしてリネームされます。

これは、日本人がとっつきやすい名前にして、より多くの人に観てもらうために必要な作業ですが、原題のもっていた意味を失うことがあります。

 

この作品はそうです。

 

邦題は「インサイド・ヘッド」ですが、原題は「Inside Out」(インサイド・アウト)です。

 

「あんまし変わってないじゃん…」

 

と思われるかもしれませんが、大きく違います。

Inside Out は裏返し、表裏逆さという意味で、take inside out は裏返しにするという意味です。

これが重要で、後で詳しく説明しますので、覚えておいてください。

 

ここからは、ざっとあらすじを説明します。

 

ライリーの感情であるヨロコビは、毎日彼女を楽しくさせることが使命。

他の感情、ビビリ、イカリ、ムカムカはライリーを守るための感情として働いているのですが、唯一カナシミだけ存在理由が分かりません。

なので、カナシミをのけ者にして毎日の仕事をしていましたが、ひょんなことからカナシミと一緒に感情の司令室から放り出されます。

指令室へ戻るために一緒に旅をしていく中で、ヨロコビはカナシミの存在する意味に気づいていく、という話で、

並行してライリーの行動も描かれているので、彼女の成長と感情の変化がどう関係しているのかを観るのが面白い作品です。

 

ビンボンというキャラクター

 

途中に登場するビンボンというキャラクター、人の成長と共に忘れられていく記憶の代表的な存在として描かれています。

 

記憶のゴミ捨て場で彼が消えていくシーンに涙した人も多いのではないでしょうか。

 

かくいう私も、涙しながらロケットで脱出するシーンを観ていました。

 

しかし、エンディングまで観た方は分かるかと思いますが、ビンボンが消えた後、彼については一切触れられていません。

 

彼に助けられてゴミ捨て場から脱出したヨロコビでさえも、です。

 

ヨロコビはあくまでヨロコビであり、今までと何ら変わることなく、ライリーを喜ばせるという自分の仕事をするだけの存在であり、他の感情たちにもいえますが、成長はないのです。

 

ライリーの成長

 

では、ライリーはどうか?

 

彼女は成長しました。

 

感情たちに支配された幼少期から、今度は自分が感情をコントロールできるようになったのです。

 

カナシミが無意識に思い出の玉に触ってしまい、球を悲しい思い出に変えてしまうシーンがあります。

あれは、感情たちがライリーの行動や気持ちをコントロールしていた時代からの変化ともいえます。

感情に支配され、ヨロコビを得るためだけに生きることができるのは、幼い頃だけです。

他人との関わりができて、自分の快楽だけを追求できないステージへ進むことによって、人は感情をコントロールする力をつけていくのです。

 

パパやママの感情たちは全員が司令部で落ち着いて座っています。

これは、感情をコントロールする術を身につけているからです。

 

カナシミの意味

 

初めにいった「Inside Out」つまり「裏返し」の意味するところは、カナシミの後にはヨロコビが生まれたり、イカリとカナシミは表裏一体だったり(後述)、感情は単純ではないということです。

映画終盤に2色の思い出の球がたくさん作られているように、感情にはそれぞれ意味があり、カナシミには「癒し」の効果があります。

ビンボンを立ち直らせたり、ライリーを家に帰らせたり。。

 

ちなみに、私はヨロコビみたいな人ばかりいる職場は嫌です。笑

目的があって、それを達成するためにけなげに頑張っている姿が彼女を憎めなくしていますが、あんな人が身近にいると疲れそうです。

 

ムカムカの存在

 

正直、ムカムカの存在は始めから疑問でした。

出番も少ないし、

 

「イカリの弱いバージョンじゃない?」

 

と自分の中では思っていて、どちらかというと「ハジライ(恥ずかしい)」とか、「タイクツ(つまらない)」とかの感情の方がしっくりくるな、と思ってました。

 

これも、日本人とアメリカ人の感性の違いなので、面白いですけどね。

 

感情のもつ意味を知る

 

この映画が教えてくれるものはこれです。

いろんな感情が、それぞれに意味を持って存在しているということを教えてくれる。

無駄な感情はないのだ、ということ。

観終わった後に、感情のもつ意味をざっと考えてみました。

 

ヨロコビ

 自己肯定

 自分を肯定することで、活力や行動をうながす。

 

カナシミ

 癒し

 自己と現実のギャップを埋める。自尊感情を取り戻す作用がある。

 イカリと親和性が高く、イカリとは表裏一体。

 

イカリ(ムカムカ)

 自尊感情の防衛

 自分の思いを守るために働く。

 有能感を感じられる自尊防衛(カナシミは無能感)。

 

ビビリ

 身体の防衛

 危険を未然に回避し、生存するために必要。

 

感情のもつ意味を客観的に理解できていたら。

私たちが落ち込んだ時の立ち直りも早いんじゃないでしょうか。

 

それにしても、こんな内的な狭い世界の話をよくもまあ、ここまでダイナミックに映像作品にしたな、と感じる素晴らしい作品でした。

ピクサーさすがですね!(2回目)

 

じゃあ今日はこのへんで。

さようなら!

 

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